Dynamics 365のブログ
2017.09.25

Dynamics 365 導入の目的・達成したい目標は何か?

Dynamics 365 を理解

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Author: Takafumi Noguchi
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以前の記事にて、Dynamics 365 を導入する前に決めてほしい5つのポイントについてご紹介しました。今回は、その中で 「導入する目的」 について具体的に触れていきます。できる限り、この「目的を決める」というステップは入念に行なってください。 

「導入する目的」 を決めることは、導入後 Dynamics 365 が自社のシステムとしてどのような役割を果たし、会社全体にどのような利益をもたらすかを決めることです。

Dynamics 365 は単なるツールです。そのツール自身に価値があるのではなく、使う側がどのような目的で使うかで初めて価値が生まれますので、ぜひ自社で導入する目的を明確にしてくださいね。この記事がそのお手伝いができれば幸いです。

それでは、具体的にこの記事のような例から、Dynamics 365 の「本当の導入目的」を考えてみてください。当てはまることがないかを検討してみましょう。

 

目次

  • 【検討事項1】システム導入目的と業務での目的を明確にする
  • 【検討事項2】システム導入の目的と業務の目的は異なることを知る
  • 【検討事項3】導入効果について考える
    • 1.  戦略的な顧客対応力を得る
    • 2.  顧客満足度アップと効率化を図る
    • 3.  付加価値の高い提案ができるしくみ作り

【検討事項1】システム導入目的と業務での目的を明確にする

Dynamics 365というシステム自体を導入する目的か、それとも業務の目的なのかを分けて考える必要があります。

Dynamics 365 を導入する目的としては以下のような例があります。

  • 顧客情報・案件情報をデータベースで共有したい
  • 営業プロセスを標準化したい
  • 顧客データを一括で管理して、業務分析や BI で活用したい
  • メールやカレンダーと連携して、モバイルでもデータを確認できるようにしたい
  • 既存データのクレンジングや顧客データのマスター化を行い、管理コストを下げたい
  • お客様の優先順位を知り、効率よく営業活動をおこないたい
  • 購入履歴から、次に勧めるべき商品など、販売アプローチの方法を考えられるようになりたい
  • 来月、どのくらいの売上が見込めるのか、売上予測や目標達成まであとどのくらいかの目処がほしい
  • お客様との関係性をもっと強くするために、定期的にお客様へのフォローを実施したい
  • 新商品や新サービスの販売をできるだけ短期間で立ち上げたい
  • 新店舗/新事業所の開設のために、ある程度の営業先をもっておきたい
  • 利用者の平均年齢や住所の分布などから、マーケティグ戦略を練りたい
  • 多い問合せなどを知り、電話対応などのコスト軽減策を検討したい
  • 採用や社員がより長く、ハイパフォーマンスで活躍する場をサポートしたい
  • 無駄な移動やコミュニケーションロスを減らし、技術者や管理者の作業負担を軽減したい

 

一方、業務の目的や達成したい目標としては、

  • 売上30%UP
  • 新規開拓営業の実践
  • 訪問件数を1.5倍にする
  • 顧客満足度を向上させる

などがあるでしょう。

これらの目的を実現できるシステムが、Dynamics 365 であるのであれば、具体的に導入を検討していきましょう。

 

【検討事項2】システム導入の目的と業務の目的は異なることを知る

検討事項1で業務の目的にて挙げた、

  • 売上30%UP
  • 新規開拓営業の実践
  • 訪問件数を1.5倍にする
  • 顧客満足度を向上させる

 

これらの内容というのは、会社がDynamics 365 を含む CRMシステムを検討する上で良く出てくる内容です。しかし、これらは業務の目的であって、システム導入の目的として挙げるのは誤りです。業務に直結する目標であることは分かりますが、決して 「CRMシステム導入」 そのものに直結させるべき内容ではありません。

つまり、業務の目的というのは「数字」を改善していくことなのですが、CRMシステムを導入することというのは、数字の改善が目的ではなく業務の改革や改善を達成するための手段というだけです。

 

業務においてのわかりやすい「数字」としての目標なのか、改革や改善から得たい「状態」なのか。ここをはっきりと区別させることにより、導入の本当の目的が見えてくるでしょう。

 

【検討事項3】導入効果について考える

最後になりますが、Dynamics 365導入でどんな効果を得たいかについて、具体的に明確にしておく必要があります。

 

1.  戦略的な顧客対応力を得る

現場が忙しいにも関わらず売上が思うほど改善していない・忙しいだけで売上改善とは無縁である…ということは、

  • 目的がはっきりしていないまま商談をしている
  • 大きな売上が期待できない顧客にばかり注力している
  • 優良顧客とそれ以外の顧客が全く同じ扱いを受けている

これらのことが大きく原因している可能性が高いです。このようなことは、情報に基づいた分析をすることで見込み度や戦略が分かり、営業活動の費用を集中していくことが必要です。

そのためには、まず顧客の情報収集・管理や活用のしくみを作ることによって顧客を知ることに繋がり、顧客を対応していく力の強化アップとなります。

 

2.  顧客満足度アップと効率化を図る

顧客満足度をアップすることが、営業コストの上昇に繋がってしまっていることがあります。顧客満足を上げるには、単に営業コストをかけるのではなく、社内一丸となって取り組む必要がありますし、他部門の協力は必須です。

受注は取れるけれどそこから利益につながっていかないのではまるっきりコストが無駄になってしまいます。

 

社内に情報を共有するしくみが出来上がっていて、必要な人に必要な情報が行き渡っているネットワークが構築されており、皆が共同で作業し共有できること。日々行っている営業活動から結果を分析・提案していくしくみを作る必要があります。これを実現させていくことで、顧客満足を上げることに繋がり、効率化を図ることに結びついていくのです。

 

3.  付加価値の高い提案ができるしくみ作り

社内にはさまざまなノウハウがあるはずですが、それらを社内の誰もが必要なタイミングで得られない・うまく整理されていない・情報の見える化がされていないという問題があります。

情報を持っているにも関わらず、それをうまく活かしていない・活用できるしくみが作られていないのが原因です。成功に繋がるシナリオ作りをすることは、営業現場において最も大切なことになりますし、付加価値の高い提案をいち早く顧客に提供していくことが可能になります。

 

今回は 「導入する目的」 について、1つ掘り下げてご紹介しました。まずは、自社で抱える課題を洗い出すこと、そしてその課題が 「システム導入の目的」 か、それとも 「業務の目的」 であるかを明確に分けて、「システム導入の目的」 である「業務改善」 をベースに Dynamics 365 導入を進めていきましょう。

 

もし目的がはっきりすれば、前回ご紹介したような、他部門からの協力も得やすくなるはずです。
なぜなら、「あなたの業務が ○○○ だけ改善しますよ。XX %の業務改善がみられるため、残業を減らすことや、各部署が取り組もうと考えていたその他の業務に時間を割くことができますよ」 とメリットを伝えることができるからです。

ぜひ、じっくり時間をかけて取り組んでみてください。

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