Dynamics 365のブログ
2018.07.28

Dynamics 365 プロセスの基本操作

Dynamics 365 の管理

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Author: Takafumi Noguchi
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前回の記事「Dynamics 365 プロセスの作成」は、プロセスのワークフローを作成する手順について触れてきましたが、今回はすこし応用編ということで、様々な用途について触れていきます。

 

目次

  • レコードの更新をする
    • 関連するレコードの値を更新する
    • 動的な値をフィールドにセットする
    • 設定した値をクリアする
  • レコードの割り当て
  • メールの送信
  • 子プロセスの実行
  • Wait を利用した時間式ワークフローの実行

レコードの更新をする

前回の記事では、レコードの更新を行う簡易な方法をお伝えしたので、今回は応用になります。

関連するレコードの値を更新する

これは、レコードの更新のステップを追加後、更新するエンティティを変更して行います。以下の例だと、営業案件(下位エンティティ)から見て、取引先企業(上位エンティティ)のレコードを更新するステップになります。

手順は以下の通りです。

  1. 「ステップの追加」をクリックして、「レコードの更新」を選択
  2. 「更新:」にて “見込み顧客(取引先企業)” を選択
  3. 「プロパティの設定」をクリックして、取引先企業のフィールドで更新したい箇所を設定する。

なお、関連エンティティの更新は、下位エンティティから、上位エンティティに対して更新を行うものになります。つまり、営業案件から、取引先企業や担当者の項目を更新できますが、企業から見て、営業案件へ更新を行うことはできない。ということです。

※ もし変更する場合は、サードパーティー製のソリューションを利用する必要があります。

 

動的な値をフィールドにセットする

動的な値、例えば最終更新者やレコードのURLなどをフィールドに設定することも可能です。その場合は、プロパティの設定で、右側にある「フォーム アシスタント」から選択します。

手順は以下の通りです。

  1. 「プロパティの設定」ボタンをクリックして、動的な値を入れたいフィールドをクリック
  2. 「フォーム アシスタント」の「検索」にて、動的な値を利用したいエンティティとフィールドを選択
  3. 「追加」ボタンをクリックすると、値を下のボックスに記載されるので、「OK」をクリックしてフィールドに動的な値を追加。黄色の塗りつぶしで{<フィールド名>(エンティティ名)} となれば、動的な値の設定が完了。

もしレコードのURLを取得したい場合は、「レコードURL」を選択します。

設定した値をクリアする

これは、「フォーム アシスタント」の「演算子」で クリア を選択することで設定が可能です。設定すると{クリア}となります。

この場合、値は NULL になることは注意が必要です。もし はい/いいえ のリストで、いいえ を設定したい場合は、既定値で設定する必要があります。すると、{いいえ}という値が設定されます。

レコードの割り当て

「レコードの割り当て」というステップを追加すれば、そのレコードの所有者をワークフローで制御できます。

特定のユーザーを指定することもできますし、最終更新者 のような動的なユーザーを設定することも可能です。動的な値を設定する場合は、「プロパティの設定」を開き、「フォーム アシスタント」にて動的な値を設定します。

メールの送信

ステップの追加で、「電子メールの送信」を選択すると、顧客エンティティもしくはユーザーに対してメールを送信することができます。以下のように、差出人や宛先に、顧客エンティティやユーザーの情報を設定して、本文を設定することで、ワークフロー実行時に自動でメールが送付されるようになります。

 

差出人・宛先などについては、固定値も動的な値も設定が可能です。本文にメールのテンプレートを挿入することもできます。

 

なお、Dynamics 365 のメール送信は、メールアドレスを差出人に指定するのではなく、担当者やユーザーを差出人に設定して、そのレコードのメールアドレスにメールが送信されます。そのため、メールの送り先は、Dynamics 365 に登録されている顧客もしくはユーザー情報に限られますので、特定のメールアドレスに個別に送付、などの操作はできません。

子プロセスの実行

子プロセスの実行とは、同じエンティティで動く別のワークフローを呼び出して実行することができる機能です。このステップを利用する場合は、事前に同じエンティティで作成したワークフローが必要で、「子プロセスとして」のオプションを有効にしておく必要があります。

 

ステップにて、「子ワークフローの実行」をクリックします。

そして、事前に準備している子プロセスを選択します。(子プロセス、子ワークフロー、と表記が異なる理由は不明です。)

 

なお、子プロセスとして、操作しているプロセス自身を呼び出すことができます。これについては後述します。

 

Wait を利用した時間式ワークフローの実行

バッチ処理のように、毎時間もしくは毎日ワークフローを実行したい場合は、「待機時間」というステップを利用します。

 

これは、指定した期間、ワークフローの動作を待機させて、期間が過ぎると実行するようなステップになっており、さらのそのステップ後、同じプロセスを「子ワークフローの実行」で呼び出せば、手動で停止するまで、ワークフローが定期的に実行されるようになります。

 

なお、この手順の最初のトリガーは、オンデマンドで実行(手動実行)する必要があります。もし自動実行ができるような、まさにバッチ処理のような機能を求める場合は、サードパーティ製のソリューションが必要になります。

 

まず、「子プロセスとして」と「オンデマンド プロセスとして」のオプションを有効にします。

ステップで「待機状態」を追加します。

条件の設定において、以下のように設定します。

「プロセス」ー 「タイムアウト」ー 「が次の値と等しい」

値:「フォーム アシスタント」で、”期間” を選択して、「時間」を “1” とします。(1時間ごとに実行)

1時間後にタイムアウトするように設定されました。

そこでさらにステップとして「子ワークフローの実行」を追加します。そして、呼び出すプロセスは自身を呼び出します。もし検索できない場合は、一度プロセスを保存してみてください。

これで、1時間ごとに動作するプロセスは完成です。実際は、この「待機時間」と「子ワークフローの実行」のステップの間に、「レコードの更新」や「電子メールの送信」など様々なステップを追加していきます。あとは、保存して「アクティブ化」すれば利用できます。

 

実行する場合は、特定のレコードを選択して、「プロセスの実行」からこのプロセスを呼び出してしまえばOKです。

このように様々な用途に対応できるプロセスは、理解を深めるほど利用価値が高まります。

ぜひ自社の問題を解決するソリューションとして、活用してみてください。

 

ちなみに、サードパーティ製のソリューションをインストールするとさらに幅が広がりますが、ここについては、またどこかで触れていきます。

 

それでは今回はここまで。

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